家族とはなんでしょうか。
どうも私たちは、家族について確たる概念を持っているわけではないようです。
一人一人、家族の概念は別々のもののようです。
大学の研究機関の雑誌の中に次のような一文がありました。
エスノメソドロジーの 知見に基づき社会構築主義の立場をとる社会学者グブリアムとホルスタインは、家族とは何かを包括的に把握できる視座は存在しないということを次のように表現している。
友だちを家族と呼ぶ人もいた。ペットを家族と呼ぶ人もいた。多国籍企業を家族と呼ぶ人もいた。逆に、妻や子ども、両親を家族と呼ぶのを拒む人もいた。誰が正しいのだろうか。ある人たちは、自分たちは同じ家に住んでいるから、自分たちが本当の家族かどうか他人よりよく分かると述べた。また、ある人たちは、自分は世帯のメンバーでないからこそ、家族についてより客観的に知っているのだと主張した。(2)
((2)グブリアム&ホルスタイン 1997、11頁。)
家族という概念を何が支えているのか ― 補完性の原理を経由して 奥田 太郎
南山大学社会倫理研究所
社会と倫理 第 30 号 2015 年 p.91―103の一部分